禁煙外来|とのぎ内科クリニック

禁煙外来

禁煙の意義について

2007年の我が国における危険因子に関連する非感染性疾患と外因による死亡数 出典:健康日本21(第二次)

現在日本において、喫煙が原因で年間約13万人の方がお亡くなりになっています。
喫煙は、

  • がん→肺がん、咽頭がんなど計10種類と関連しています。
       海外の報告では、肺がんの原因の80%がタバコに起因するといわれています。
  • 心血管障害→心筋梗塞、狭心症、脳卒中など
  • 消化器系→胃潰瘍、十二指腸潰瘍
  • その他→認知症、ビタミンC破壊による外観的老化の進行、脂質異常症など
喫煙によるリスク

タバコを吸うとストレス解消される?

喫煙者の喫煙の理由としては、【最高のストレス解消】【最大のリラックスできる嗜好品】【頭が冴える、仕事の能率アップ】といったことが挙げられます。
はたしてそうなのでしょうか?

ニコチン切れの状態 図解

上記図をご覧ください。喫煙者において、喫煙後30分が経過すると血中ニコチン濃度が減少し、不安、ストレスなどの禁断症状が出現します。そこで喫煙することにより、禁断症状が解消され、ストレスが緩和すると錯覚するだけなのです。ストレス緩和レベルは決して非喫煙者を上回ることはなく、あくまで元のレベルに戻っただけなのです。
ニコチンは体内から消失するのが早いために、30分ほどで次の一本を欲するようになります。それにより体内での最適な血中ニコチン濃度を無意識に維持するようになっているのです。

この状態のことをニコチン依存症といいます。

禁煙・喫煙継続別に見たストレスの変化 図解

依存状態は常にストレスを抱えることになります。
上記図は喫煙者、禁煙者のストレスの変化を図評したものですが、
喫煙者は禁煙者と比較し日常生活においてストレスを常に多く抱えて生活していることがわかります。

禁煙の難しさ

ニコチンの依存性

使用者が依存症になる割合
ニコチンヘロインコカイン > アルコール > カフェイン
依存症になった人の禁断症状の強さ
アルコール > > ヘロインニコチン コカイン > カフェイン
依存症の人がやめる難しさの度合い
コカインヘロイン = アルコール = ニコチン 】 > カフェイン
薬物による超過死亡
ニコチンヘロインコカイン > アルコール > カフェイン

Royal Collage of Physicians:Nicotin Addication In Britain: A Report of the Tobacco
Advisory Gruop of the Royal Collage of Physicians. 2000

ニコチンの依存性は麻薬、覚せい剤と同等の依存性を持ちます。
ですので、自分の意志だけで禁煙をすることは相当に困難であり、禁煙に挑戦して6か月以上成功する確率は10%程度と報告されています。

米国の喫煙者のうち、禁煙に成功した割合 禁煙治療を受けた回数と禁煙成功率の関係

では禁煙外来を受診するとどの程度の成功率になるのでしょうか?
禁煙外来は12週間の間に計五回外来を受診して頂きます。
全て受診された方の成功率は50%にまで成功率は上昇します。

☆成功率50%は5回の外来を全て受診されて初めて得られる数字です。
途中で自己中止をされてしまうと、初回中止での中止では成功率は4.7%にまで低下してしまいます。4回目でも32%しか成功できません。
→必ず5回の外来を受診するようにしましょう!

節煙も効果はありません

喫煙は1日1本未満でも死亡率増加

アメリカ国立衛生研究所のデータですが、一日一本未満でも死亡リスクは、非喫煙者と比較し、1.64倍に跳ね上がります。 つまり節煙をしても意味はなく、完全に禁煙することが必要です。

禁煙外来の適応

下記の条件を満たされている場合に保険診療による治療が可能となります。

  1. ニコチン依存症の判定テストが5点以上
  2. タバコ係数1日の喫煙本数に喫煙年数を掛けた数が200以上であるものであること
  3. ただちに禁煙を始めたいと思っている
  4. 禁煙治療を受けることを文書で同意している

依存症のテスト

  1. 自分が吸うつもりよりも、ずっと多くタバコを吸ってしまうことがありましたか?
  2. 禁煙や本数を減らそうと試みて、出来なかったことがありましたか?
  3. 禁煙したり本数を減らそうとしたときに、タバコが欲しくてなることがありましたか?
  4. 禁煙したり本数を減らそうとしたときに、次のどれかがありましたか?
    (イライラ、神経質、落ち着かない、集中しにくい、憂うつ、頭痛、眠気、胃のむかつき、脈が遅い、手の震え、食欲または体重増加)
  5. 「4」でうかがった症状を消すために、またタバコを吸い始めることがありましたか?
  6. 重い病気にかかったときに、タバコはよくないとわかっているのに吸うことがありましたか?
  7. タバコのために自分に健康問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか?
  8. タバコのために自分に精神的問題(※)が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか。
    (※): 禁煙や本数を減らしたときに出現する離脱症状(いわゆる禁断症状)ではなく、喫煙することによって神経質になったり、不安や抑うつなどの症状が出現したりしている状態。
  9. 自分はタバコに依存していると感じることがありましたか?
  10. タバコが吸えないような仕事やつき合いを避けることが何度かありましたか?

Yes…1点 No…0点→ 計5点以上で依存症と判断します。

禁煙外来のスケジュール

健康保険などを使った禁煙治療のスケジュール

禁煙外来のコスト

当院ではファイザー製薬のチャンピックスで治療を行っています。
費用は概算ですが、下記通りになります。

支払い先名目費用自己負担
(三割負担分)
クリニック初診料
+再診料
7,780円6,040円
ニコチン依存症
管理料
9,620円
院外処方箋料2,720円
保険薬局調剤料6,160円13,620円
禁煙補助剤39,230円
総額65,510円19,660円
タバコ代と禁煙治療費の比較

チャンピックスでの治療費は、3か月で2万円前後発生しますが、1日当たり230円程度であり、喫煙と比較すると、1日1箱消費すると月額15,000円発生するために1か月強で禁煙治療代が回収できる形になります。

禁煙による体内正常化までの時間

禁煙後20分
血圧や脈拍が正常化し、手足の体温が正常に戻る
8時間
血液の一酸化炭素濃度が正常になる
24時間
心臓発作のリスクが減る
48時間
運動機能が改善し、味覚・臭覚が復活し始める。
72時間
気管支の緊張がとれ呼吸が楽になる。肺機能が改善する。
2~3週間
心機能が改善。肺機能が30%回復する。
1~9ヶ月
咳、息切れ、疲れやすさが改善する。気道の自浄作用が改善し感染症を起こしにくい。
1年
虚血性心疾患にかかる危険が喫煙者の1/2になる。
5年
肺がんで死亡する率が半分に減る。
10年
前がん状態の細胞が修復される。口腔がん、咽頭がん、食道がん、膀胱がん、膵臓がん等になる確率が減少する。